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相手に貸しをつくる


相手を右に向かせたいとき、「右を向け」と言う必要はありません。相手が進んで右を向きたくなるように、策を講じればいいでしょう。こちらの思惑を見せないまま操ることができれば、反発されたり、足元を見られたりせずに済み、本人は、自分の意思で動いたと信じているからです。



たとえば、何度も足を運んで商談を進めても、なかなか最終決定権のある上司に会えない場合、担当者はよく対応してくれますが、いい加減、契約成立に持ち込みたい、というときには、相手に「借り」を作らせるのが手っ取り早いです。そして早く借りを返すように仕向けます。

相手の希望をかなえられず、「断る」という行為をすると、人は申し訳ないと思うものです。「借りができたから、返す必要がある」という負担を背負い込みます。

★「借り」はちょっとしたことでいい。簡単なのが、わざと忙しそうなときを狙って、アポイントなしに訪問したり、電話をかけたりする方法です。

「ちょっとお話したいことがあるのですが、今お時間よろしいですか」「新しいご提案があるのですが、ご都合はいかがでしょうか」などと、無邪気に問いかけます。
忙しい相手は、断らざるを得ません。「申し訳ない」と断ってきます。その申し訳なさを利用するのです。

相手が断ってきたら、
「それでは、○○さんのご都合のよろしいときに合わせます。ご連絡をお待ちしております」
などと、恩を売るような言葉で念押しすることも大切。負い目は大きければ大きいほどいいでしょう。いわば、相手に強迫観念を抱かせる方法です。

こうして手を打っておけば、相手に時間ができたときに、ただ会うだけでは申し訳ないと思ってくれるかもしれません。そして、何とか借りを返そうと、勝手にこちらの喜ぶことをしようとします。

上司が同席するよう、根回しに精を出してくれればしめたものです。仮に、それがかなわなくても、相手は借りがあると思っているから、有利な立場で交渉が進められます。

一方、「何とか部長に会わせてくれませんか」と泣きつくと、自分が弱みをさらすことになります。急いでいること、焦っていることを見抜かれ、足元を見られて取引が不利になります。

★さりげない振る舞いでプレッシャーをかけるのが、最高の攻略法です。





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