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強い脅しより弱い脅しほど、実際には効果がある




母親が子どもをしつけるとき、「○○しないと、××になってしまいますよ」と脅すことがあります。

たとえば、「おへそを出して寝ると、カミナリ様におへそをとられますよ」「早く帰らないと、怖いおじさんにどこかに連れていかれてしまいますよ」といった言い方です。

こうした言い方は、いっけん効果がありそうに見え、実際、子どもは母親のそういう脅しを怖がり、その場ではお腹を隠したり、「明日から早く帰ってくる」といったりするでしょう。

しかし、その後、子どもがいいつけを守るかどうかは、いささか心もとない。というのは、つぎのような実験結果があるからだ。


ジャニスとフェッシュバッハの行なった実験で、まず高校生を対象に口腔(こうくう)衛生の講義をする。このとき、学生を3グループに分け、

★ Aグループには、歯を不衛生にしていた場合、どのような不都合が生じるかを、できるだけ不安をかきたてるように話す。

虫歯や歯槽膿漏になると、こんなに苦痛を生じる、場合によってはガンにさえなるといったことを、スライドや写真を用いて説明する。

★ Bグループにも、歯磨きをしなかったり、口のなかを不衛生にしていると、どんな病気になるかを話す。ただし、こちらのグループには、あまり恐ろしい話はしない。
手入れを怠ると、虫歯になったり歯ぐきがただれるといった程度の話をし、軽い症状の写真を見せる。

★ Cグループには、歯磨きなど口のなかの手入れを怠ると、虫歯になるとだけ説明する。

その後、3つのグループを調査すると、講義直後、歯に対する不安を感じる人はAグループが42%ともっとも多く、続いてBグループが26%、Cグループが24%たった。このデータだけを見ると、強く脅したほうが効果的に思えますが、その後の調査を見ると、結果はまるで違っていたようです。

実際に歯医者に行くなど、何らかの行動をとったかと聞くと、「とった」と答えたのは、軽く説明しただけのCグループが、36%ともっとも多かったのだ。その次がBグループの22%で、強く脅されたAグループではわずか8%にすぎなかった。

ようするに、人を恐怖で動かそうとするときは、あまりに強すぎる脅しは、その場では効果があるように見えても、実は逆効果になり、軽く脅しておく程度が、実際の行動には反映されやすいようです。

子どものお腹を冷やしたくないなら、「おへそを出して寝ると、お腹が痛くなりますよ」程度に言っておくほうがいいのかもしれません。





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