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相手の決断を促すには、理由付けを与えよ




人は「理由づけ」に弱い動物です。


理由づけがあると、妙に強気になり、ないと弱気になります。明治維新直前に行なわれた戊辰戦争など、まさにその典型です。

戊辰戦争は、1868年1月3日からの鳥羽伏見の戦いによってはじまりましたが、このとき、軍事的に優勢だったのは、兵力で圧倒的に勝っていた幕府軍でした。

しかし、戦いは、薩長軍の勝利に終わります。勝敗を分けたのは、戦うための理由づけの存在でした。

鳥羽伏見の戦いの最中、薩長軍は自らが天皇の軍であることを示す錦の御旗を掲げました。これによって、薩長軍は、自分たちは天皇の軍、すなわち官軍であるという理由づけを手に入れ、にわかに活気づいたのです。

いっぽうの幕府軍は、錦の御旗が出たことで、天皇の敵、すなわち賊軍となり、士気がみるみる衰えていった。

「幕府のために」という名分よりも、「天皇のために」という名分のほうが、すでに強い時代になっていたのです。勢力からすれば圧倒的に有利だった幕府軍は、士気を失い、敗走するはめになったのです。

この理由づけの「威力」には、戦争にかぎらず、日常のちょっとした場面でも、けっこう出くわすものです。

パート勤めをしている主婦が、その日ちょっと残業したことを「理由づけ」にして、夕飯を出来合いの惣菜やレトルト食品ばかりですませるのも、その一つといえるでしょう。


あるいは、子どもが喜ぶことを「理由づけ」にして、子どもといっしょにプールに行っては、女性の水着姿に鼻の下を伸ばしている父親も、そういえるかもしれません。

つまり、何らかの正当な理由づけがあれば、日頃はやりにくいことでも、けっこう堂々とできるものです。

だから、相手が何かしようと迷っているときには、その行動を正当化する理由を与えてやればいいのです。すると、相手の決断を早めることができるはずです。

たとえば、高価なデジタルカメラを買うか、安いカメラを買うかで、迷っている男性客に、「こちらのカメラなら、奥様やお子さまでも操作が簡単ですよ」といって、高価なカメラをすすめます。

自分のためだけなら高いと思っている人でも、「家族みんなのため」という理由があると、買おうという気になるのです。

この場合、「家族のため」「子どものため」といった理由づけが、客の判断を狂わせ、高い商品を買わせるうえで、絶妙のセールストークになるわけです。





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