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自分の思うように相手を誘導するには「前提条件」を使え




成績のよいセールスマンは、人間心理を熟知しているものです。

心理学を特に勉強していなくても、業務上の経験から、人はどうすれば買いたくなるかを経験的に学んでおり、それをセールスに生かしています。

そんなセールスマンが使うテクニックに、「前提条件を暗示する」という方法があります。


たとえば、鍋やフライパンなどの台所用品をセールスする場合、「何か必要なものはありませんか」とか「どのようなものが、ご入り用ですか」と聞いたのでは、「いまは間に合っています」と断られてしまうのがオチです。

そうではなく、「炒めものをよくしますか。それとも煮込み料理ですか」と、具体的な選択肢を提示して、質問するのです。

そう質問されると、聞かれたほうは、「どっちが多かったかしら」と考えることになり、そこで、「炒めものが多いわね」となれば、「それなら、このフライパンがいいですよ」とすすめるのです。

つまり、台所用品を買うか買わないかは、いっさい聞かないで、台所用品を買うことが既に前提条件になっているかのように話を進めていくのです。
前提条件をつくることで、お客に買わなければならないという錯覚を起こさせるのです。


こうした前提条件に惑わされやすい人間心理は、つぎの実験でも明らかにされています。

成城大学の堀川直義教授が行なった実験で、時計と他のものが一緒に写っている写真をベテラン刑事に見てもらい、何分かしてから、写真に写っていた時計の時刻を質問する。このとき、「何時でしたか」と聞くと、「5時」「10時」と正確な時刻を答える人が多い。

ところが、「時計が指していたのは、3時でしたか9時でしたか」と聞くと、実際には10時を指していたにもかかわらず、「3時」とか「9時」と答える人が増えるのです。

漠然と「何時でしたか」と聞けば正確に答える人でも、選択肢を前もって提示すると、それが間違いでもそのいっぽうを選んでしまったのです。

選択肢を提示されると、その時点で、人間の思考の幅は非常に狭くなり、正しいか間違っているかではなく、どちらかから選ばなければならないという方向に心理が働くためです。

そのため、大前提となる話を飛ばし、具体的な選択肢を提示すると、相手の気持ちを自分の望む方向に誘導することも可能になるのです。






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