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大きな要求をいつの間にか呑ませてしまう知恵




「高額の英会話学習教材を交わされた」「高額のエステサロンの会員にされてしまった」と、詐欺まがいの商法に引っかかる人は少なくありません。


なぜ、そんなバカな契約をしてしまうのか不思議にも思いますが、そこは売り手側もプロです。人間心理の勘どころを心得て、あらゆる心理テクニックを駆使して迫ってきます。

そのひとつが「フット・イン・ザ・ドア」というテクニックです。これは、セールスマンが使う古典的名テクニックで、まず、小さな要求を呑ませ、やがて大きなイエスを引き出すという手法です。

「フット・イン・ザ・ドア」とは「まず、ドアに足を入れる」という意味で、ささいな要求をまず通してしまえば、あとで大きな要求を通しやすくなるという意味が含まれています。

英会話学習の教材やエステサロンなどの勧誘にも、このテクニックが応用されているのです。

まず、該当で声をかけ、「ほんの2,3分ですみますから」と簡単なアンケートに答えてもらう。回答してもらったら、次に「もう少しくわしくお聞きしたいので、事務所まで来てもらえませんか」と依頼する。

このとき、「2,3分のアンケート」という小さな承諾をした相手は、すでに「事務所へ行く」という頼みを受け入れやすくなっています。そして、事務所に行くという頼みをOKした相手は、今度は、「商品を買う」という頼みにもイエスと言いやすくなります。こうした小さなイエスの連続のなか、あとで考えると「しまった」と思う契約書にも、サインしてしまうのです。

こうした人間心理は、フリードマンとフレイザーが行った心理実験でも確かめられています。

主婦156人を対象としたもので、最終的に「5,6人の男性調査員が家を2時間ほど訪れ、その家で使っている品物を分類調査する」という、かなり面倒な要求に応じてもらえるかを調べたのです。

この要求に当たって、以下の四つの方法がとられました。

@ まず、電話で、「消費者向けのパンフレットを作っているのですが、あなたが使っている家庭用品の調査に協力していただけますか」と依頼する。承諾した主婦には家庭用石けんについての簡単な質問を行い、その三日後、今度は「5,6人の男性が家に出向いて調査したい」という大きな依頼を行う。

A 電話で、@と同じ要求をするが、石けんについての質問はしない。いきなり、その三日後、5〜6人の男性が訪問して調査したい旨を述べる。

B 自分たちが消費者向けのパンフレットを作っていることは述べるが、その話をするだけで石けんについての調査は頼まない。ただし、電話で話す時間は、@やAよりも長くする。その三日後に、男性たちの訪問に関する依頼を行う。

C 最初の電話で、男性たちが家を訪問し、分類・調査したいと依頼する。
以上の四パターンで依頼し、主婦たちが「5〜6人の男性調査員が家を2時間ほど訪れ、分類調査する」という要求をOKするかどうかを調べたのです。

すると、結果は、
@の最初に石けんに関する質問に答えた主婦が、三日後の大きな要求もOKする確率がもっとも高く、全体の52.8%が承諾した。

Aの最初に協力を要請するが、質問はしなかった場合は承諾率33.3%
Bの自己紹介をしただけの場合は27.3%

Cのいきなり、大きな要求をした場合は、22.2%だったということです。

やはり、最初に小さな要求を呑んだ主婦ほど、あとの大きな要求にもOKしやすかったというわけです。

ですから、「これはちょっとムリかな」と思える要求を人にするときは、その前にまず簡単な頼みごとをしてOKさせるといいということになります。それをOKさせればしめたもので、つぎの大きな要求も?ませやすくなります。


頼み語とは、「急がば回れ」方式が効果的なようです。





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