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不満分子を黙らせるには「会議」に引きずり込め




民主主義というのは、なにかと手間ひまがかかるもので、選挙や長時間の討論が必要で、独裁者が一人いて、何でも勝手に決めるのにくらべれば、多くの時間とお金がかかります。

事柄によっては、みんなの意見がまとまったころには、手遅れというケースもあります。

しかし、それでも民主主義に勝る制度はないわけで、心理学的にいっても民主主義にはほかの制度にはない長所があります。

それは、参加者の帰属意識を高めやすいことです。人は、討議や選挙など意思決定の場に参加すると、その決定にたいして責任感をもつようになります。


たとえば、こんな調査がある。輿論(よろん)科学協会が行なったもので、女子学生を二グループに分け、いっぽうには「赤痢(せきり)を予防するには、手を洗う習慣をつけることが大切である」という趣旨(しゅし)の講演を聞かせる。

そして、もういっぽうには、「赤痢(せきり)を予防するには、どうすればいいか」というテーマで議論を行なわせ、結論を「手洗いを励行(れいこう)する」という方向にもっていくようにする。

その後の女子学生の行動を調査したところ、講演を聞いただけのグループよりも、自分たちで議論をしたグループのほうが、手洗いをよく励行したとのことです。

えらい人から一方的に「こうしたほうがいい」といわれるより、みんなで「こうするといい」と決めたほうが、決めたことを守ろうという気持ちになりやすいのです。

この人間心理を使えば、組織のなかの不満分子をコントロールすることも可能で、何かを決めるとき、不満を並べ立てそうな人間をかならず議論に参加させておくのです。

すると、たとえ自分の意見が通らなくとも、彼はその意思決定の場にいたというだけで、表立って不満はいいにくくなります。うまくいけば、不平不満の多い人物を、意思決定のリード役に変えることも可能です。


これをうまく使った例に、アメリカのルーズベルト大統領のニューヨーク州知事時代のエピソードがあります。当時の州議会議員たちは、非常に意欲が低く、さまざまな案件が議会で滞っていた。

そのとき、ルーズベルトは、州政府の重要ポストの人選を自分で行なわず、すべて彼らに決めさせることにした。

ただし、議会が推薦した人物が、自分の気に入らない場合は、世論の反対を理由に却下し、そうして新たに人選を行なわせ、最終的にはすべてのポストに自分が気に入る人物をつけたのです。

けっきょくは、ルーズベルトの思惑どおりの人選になっだのですが、この手順を踏んだことで、州議会議員たちは自分たちで重要ポストを決めたと「錯覚」。以後、議員たちは、俄然やる気をみせるようになったのです。

多少手間ひまがかかるように見えても、関係者をより多く討議に参加させるほうが、反発が少なくなり、その後のことがスムーズに運びやすいというわけです。




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