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■偶然聞いてしまった話に、人は信じやすい喫茶店で、隣のテーブルにサラリーマン風の二人組が座っていたとします。そのヒソヒソ話を聞いていると、どうやらいま取り組んでいる製品がようやく完成しそうで、それは業界初の画期的技術。 もうすぐ、新聞発表もできそうだというのです。 仮に、その会社が上場企業だった場合、極秘情報を聞いた気になって、その会社の株を買おうという気になる人もいるでしょう。 彼らの言うとおりだとすれば、新聞発表後、その企業の株価は確実にはね上がるので、その前に買っておけば、大儲けができるはずだ。 ですが、すこし冷静になって考えれば、その情報だけで株を買いに走るのはあまりに危険な行為といえます。 会社の名前を聞き違えたかもしれないし、もうすぐ完成という話にしても、彼らの希望的観測という可能性もあります。 さらにいえば、そのサラリーマンの会話自体、まったくの作り話かもしれません。 劇団の役者二人が、芝居の稽古をしていたということも考えられるでしょう。 にもかかわらず、そういう情報に飛びつきやすいのは、それが「偶然聞いた話」であるためです。 人間というのは、熱弁振るって説得されるよりも、たまたま聞こえてきた話ほど信用してしまう傾向があります。とくに、偶然耳に入ってきた話、また盗み聞きしたような場合ほど無条件に信じる傾向が強いようです。 逆にいうと、人にウソを信じ込ませたいときには、わざと盗み聞きをさせればいいことになります。 まったく根拠のないデタラメな話をしても、それを聞いた人はその話を真実だと思い、鵜呑みにする可能性が高いのです。 たとえば、ライバル社の人間がよく行く喫茶店で、ウソの情報を話したり、社内のライバルの近くでウソの噂話を聞かせるのです。 「偶然聞いた話」の心理効果を利用して情報操作を行ない、相手を混乱させることも可能といえるでしょう。 |
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